
5月30日(土) 高円寺Oriental Force
日本の地下音楽をレコードで聴く会 第5回
吉祥寺マイナー関連作品
NOISE『天皇』(1980)
A-Musik(アームジーク)『E Kú Ìrójú(エクイロジュ)』(1984)
11:30 open / 12:00 start
入場無料 / 要1drinkオーダー
解説:剛田武
70年代後半から80年代前半の日本で、パンク・ムーヴメントとD.I.Y精神に触発され、地下から地上へあふれ出した得体のしれない特異な音楽の魅力を体感し、現代まで続く地下音楽の本質を探る試み。
当時発表されたレコードを、原則としてオリジナル盤で毎回2作ずつ通して聴くイベントです。
第5回は吉祥寺マイナーで活動していたミュージシャンによる作品2作、工藤冬里と大村礼子によるユニットNOISE(ノイズ)と、竹田賢一を中心とするプロジェクトA-Musik(アームジーク)を特集。
NOISE『天皇』(Engel Record – LM-1191 / 1980)

工藤冬里&大村礼子のユニットNOISEによる『天皇』(1981)というLPは、80年代初頭の地下音楽カオスに於いて、ユニット名やタイトルとは裏腹に、一点の曇りもない清浄なヴァージニティ(純血性)を発散していた。Engel Recordというレーベル名は「エンゲル」と読むが、荘厳なオルガンのクラスターの上に舞う天使のような礼子の歌声から「エンゼル」だと思い込みチョコボールのエンゼルマークを想起していた。パンク/ニューウェイヴの早急さの対極にある幻想的な白昼夢の世界に感じられる底知れぬ狂気の閃きに魅了された。
その後、工藤冬里はソロもしくはマヘル・シャラル・ハシュ・バズなどの不定形ユニットで活動。礼子と結婚し、ニューヨークやイギリスでの生活を経て、現在も全く変わらず不定形且つ不可知な表現活動を続ける。陶芸家としても活動。
工藤(旧姓大村)礼子は年に数回マヘル・シャラル・ハシュ・バズに参加したり、吉祥寺マイナー所縁のアーティストと共演したりしつつ、ソロ名義で数枚のアルバムをリリースしている。いずれも冬里のピアノとギターを中心にした最小限のバッキングで、子供が気紛れに綴ったような無垢な詩をエンゼルヴォイスで歌う、心の中の最も繊細な場所に飾っておきたい小品集である。二人のデュオ演奏は、20年前に新宿ゴールデン街のバー「裏窓」の10人だけのプライベートな空間で観たが、目を離すと消えてしまう泡(あぶく)のような存在感が印象に残っている。
A-Musik『E Kú Ìrójú』(Zeitgenössische Musik Disk – DI-830 / 1984)

音楽評論家/大正琴演奏家の竹田賢一が80年代初頭に結成した「反ポップ・バンド」の1stアルバム。竹田は新宿の楽器屋でみたエレキ大正琴を直感的に選び、エフェクターを通して耳を劈く爆音で演奏していた。彼が地下音楽界の有能ミュージシャンを集めて世界の反戦歌や抵抗の歌を演奏するプロジェクトがA-Musik。世界の抵抗歌の歴史や反アメリカ主義を詳細に記したブックレットは驚くほど豪華。アートワークはザッパ・フリークのイラストレーター八木康夫(ヤギヤスオ)。
当初ピナコテカレコードからリリースされる予定だったが、竹田とレーベルオーナー佐藤隆史との間の制作理念の食い違い(政治理念ではない)により、竹田自身のレーベルからリリースされることになった(配給はバルコニーレコード)。A-Musikは散発的ながらも現在も活動中。